ハイライトは上海の下流域

蘇州河を巡る小さな旅のスタート地点は、やはり黄浦江との合流点である河口がぴったりだ。河口から上流に向かって1キロ余りの範囲に、歴史に彩られたスポットが点在している。上海市内の下流域は、蘇州河の風景のハイライトだ。


外白渡橋とその背後に立つ上海大廈。上海といえばここという風景だが、蘇州河を語る上ではずせないポイントだ

橋と建物に漂う歴史の薫り
 
 蘇州河の河口のすぐ上流に外白渡橋が架かっている。そこから上流に向かって、乍浦路橋、四川路橋、河南路橋、山西路橋、福建路橋、浙江路橋と橋が続く。
 外白渡橋はその北に立つ上海大廈とともに、上海のシンボルの1つとなっている。橋が最初に造られたのは1856年のことだった。アヘン戦争で清がイギリスに敗れ、1842年に南京条約が結ばれて上海は開港された。外白渡橋は海外との窓口になった上海の歴史を見つめ続けてきたといえる。
 四川路橋の北のたもとには「上海郵政博物館」がある。この建物は1924年に上海郵政総局として建設され、中国の近代郵便事業発祥の地の1つとなった。館内には上海での郵便事業の変遷を物語る文物が数多く展示されている。
 河南路橋の北には「河濱大楼」が立っている。1935年に建てられたマンションで、当時はアジア最大のマンションだといわれた。上海では最も早期の水辺のマンションで、当時はイギリス人、アメリカ人、スペイン人を中心とする多くの外国人が居住していた。現在も住宅としての機能は健在で、一部はホテルとして利用されている。
 浙江路橋は外白渡橋と同様の鉄橋だ。蘇州河に架かる鉄橋はこの2つしかない。この橋が最初に架けられたのは1880年で、1906年に鉄橋として生まれ変わった。外白渡橋が交通の動脈となり多くの車が行き交っているのに対し、浙江路橋の主役は二輪車と荷物を運ぶ三輪車だ。橋のイメージもあか抜けないが、それだけに生活に密着した独特の趣が感じられる。
 外白渡橋から浙江路橋にかけては、川の南岸に歩道が設けられているので歩きやすい。距離もそれほど長くはないので、休日にぶらっと訪れることができる。
 

外白渡橋の上流に架かる乍浦路橋から下流を見る。陸家嘴の摩天楼が圧巻だ。外灘から見るのと比べ、手前に比較できる建造物があるだけにスケール感が増す
 

緑の帽子をかぶったような塔が特徴の上海郵政博物館。蘇州河の河畔で最も歴史を感じさせる建物だといっていい
 

河南路橋のたもとに立つ河濱大楼。80年を超える歴史を持つが、今も現役の住宅だ
 

浙江路橋。鉄の橋らしい無骨さが感じられる。よそよそしさのない、生活感あふれる橋だ
 

浙江路橋の南には古い街並みが広がっている。上海一のショッピングストリートである南京東路のすぐ北に狭い路地があるのも興味深い