北の端は大河の干潟

上海の東西南北の端のうち最初は北の端。上海で暮らすある中国人に「上海の北の端はどこ」と尋ねると「嘉定だね」という答えが返ってきた。一般的なイメージはそんなところなのだろう。しかし、それは正解ではない。上海の北の端は長江に浮かぶ巨大な中州「崇明島」にある。この島によって長江は南北2つの流れに分かれるが、北の端はその北の流れの干潟にあった。
 

最北端の地は泥の上か
 
 崇明島は長江の河口にある3つの中州(崇明島、長興島、横沙島)のうち最大の中州で、台湾島、海南島に続く中国で3番目に大きい島だとされている。面積は1000平方キロ余りで、日本の佐渡島より大きい。
 島は東西に細長く、北の端は島の北西部にある。そのエリアは「新村郷」と呼ばれ、広大な田園地帯となっている。集落の3キロほど北を長江が流れている。その河岸が上海の北の端だ。長江沿いには立派な道路が延びていて、堤防の機能も果たしている。道路の北側に湿地が広がり、一部は田んぼになっている。北の端に行くにはその湿地に足を踏み入れなければならない。田んぼの東側に細い道があり、そこを行くとアシの茂みに行き当たり、その先も踏み跡のような細い道が続いている。その道を突き進むと長江の岸に出られる。しかし、この道に分け入ることはおすすめできない。水浸しの所も多く、気軽に入ると痛い目に遭う。堤防のような道路でも北の端にかなり近いので、そこから北を眺めるのが賢明だ。
 長江の河岸には干潟が広がっている。アシの茂みが切れる辺りでは、北端の緯度(北緯31度53分)に達しない。干潟と川の境が北端とされていると思われる。長江の北の流れは南の雄大な流れと比べるとこぢんまりとしたイメージで、大河・長江の面影は感じられない。川の向こうは江蘇省の南通市(南通市の県級都市の海門市)だ。人の気配がほとんど感じられないこの地は、「端」というにふさわしい寂しげな雰囲気を感じさせる。
 
北の端への行き方
まずは崇明島の中心エリアである南門まで行く。南門までは地下鉄1号線の汶水路駅から「申崇三線」、6号線の五洲大道駅から「申崇六線」のバスが出ている。フェリーや高速船も運行されている。南門から「南紅専線」のバスに乗り、終点の「冠華不銹鋼厰」まで行く。そのまま道を西に進み突き当たりの少し手間を右に曲がって橋を渡り、衛付路を左に曲がる。少し行って橋を越え右に曲がる。そのまま道なりに進むとやがて湿原が見えてくる。バス停から北の端のエリアまでは約4キロ。
 

上海の北端のエリア。長江の河岸で、アシの茂みが切れると干潟になる。どこが最北端なのかは特定できない

 
北を望むと広い干潟が一望できる。長江の北の流れはそれほど広くなく、行き交う船も少ない

 
iphoneに表示された緯度と経度。緯度が北端には達していない。表示が正確だとするなら、北端は干潟の中にあるとしか考えられない。場所は江蘇省南通市と誤って表記されている
 

西の方角を見る。干潟は一見すると土のようだが、ずぶずぶとぬめる泥で、簡単には歩けない
 

長江い沿いは小さな漁場となっている。人が残した物も所々に見られる


湿地を小さな川が流れ、長江に注いでいる。この川の水も元々長江を流れていたものだ

 
長江の岸に出るにはアシの茂みの中の道を行かなければならない。気軽に足を踏み入れないほうがいい
 

長江の河岸に広がる湿地。耕地として利用されているのはごく一部だ

 
長江沿いに延びる道路。立派な道だ。行き交う人の姿を見ることはほとんどない

 
道路の南には田んぼが広がっている。崇明島は上海有数のコメの産地で、ここでは機械化された大規模な農業が展開されている