西の端は湖のほとり

最後は上海の西の端。上海は西に位置する江蘇省と陸続きであるため、西端は誰もが想像できる場所ではない。江蘇省との境界には上海最大の湖である「淀山湖」をはじめとする多くの湖が点在している。周庄や錦渓などの有名な水郷も近くにある。上海の西の端も、湖のほとりにひっそりとたたずんでいる。
 

水郷・周庄のすぐそばに西端あり
 
 上海の西に「周庄」という有名な水郷がある。上海の地図を眺めると、その辺りが西の端かなと思う。しかし、周庄は残念ながら江蘇省の昆山市に属している。詳しく調べてみると、上海の西端は周庄から小さな運河を隔てた田園地帯にあった。
 西端のある集落は「新羅」と呼ばれる。淀山湖の西岸を走る金商公路から西に延びる陳新路に入り、5キロほど行った所にある。水路沿いに民家が立ち並んでいる。その集落の西、「漲水盂」という名の湖の岸が上海の西の端だ。
 西端の地は、これといった特徴のない田園地帯になっている。集落は高齢化が進んでいるようで、農作業をしている人はほとんどがお年寄りだ。たまたま出会ったお年寄りに話を聞いたところ「このあたりが上海で最も西のエリアだよ」と言っていたので、地元の人たちにもそうした認識があるのだろう。湖岸は田んぼのあぜになっており、四季折々の作物が栽培されている。北の運河を隔てたエリアは、周庄の街の一角になる。運河の少し南の湖岸が西端だが、湖岸が南北に延びているため、50メートルほどの範囲がほぼ同じ経度となっている。
 岸の西に湖が広がり、条件に恵まれると日の入りの前後に美しい夕景を目にすることができる。上海は中国大陸の東の端に近い。西に広がる湖のかなたに沈む夕日を見ると、果てしないほど続く中国の大地のスケールを思わずにはいられない。
 
西の端への行き方
上海市西部の青浦区を走る「青商線」に乗り、終点の「商榻」まで行く。青商線は上海西部の水郷として知られる朱家角まで行って乗り換えるのが便利だ。商榻のバス停で「金澤1路」のバスに乗り換えて「新羅」のバス停で降りる。バスが通ってきた道(陳新支路)をそのまま進み、突き当たりを左に折れ、500メートルほど行くと湖に出る。そこから北に約150メートル行った場所が西端だ。金澤1路は最終バスが午後6時半ごろに新羅のバス停を出る。夏場は湖の向こうに沈む太陽を眺める時間的な余裕はない。
 

上海の西端の地。湖岸がほぼ南北に延びている

 
最西端と思われる湖岸から湖(漲水盂)を望む。対岸は江蘇省だ

 
iphoneに表示された緯度と経度。確かに上海の西端の東経120度51分を示している。上海市内だが、江蘇省のすぐそばなので誤ってそう表示されている

 
湖岸には田んぼが広がっている。古来から「蘇杭満つれば天下足る」と称せられた大穀倉地帯の一角だ
 

すぐ北の運河が上海市と江蘇省を隔てている。周庄の古鎮を発着する遊覧船が時々運河を通る
 

日没直後の湖。空と湖がピンクに染まり、思いもかけない光景が広がった

 
6月上旬には刈り入れ前の麦畑も所々に残っていた


梅雨を象徴する花の1つである「アヤメ」も咲いていた

 
このエリアの幹線道路である陳新路沿いには水に恵まれた村が点在している
 

新羅の村の小さな商店の中に入れてもらった。昔ながらの造りに趣が感じられる