金澤古鎮

大きな湖に近い静かな水郷

上海市の西部、江蘇省との境界に、上海最大の淡水湖である淀山湖がある。この湖の周辺には朱家角、周庄、錦渓という江南を代表する水郷があり、大勢の観光客を迎えている。そうした有名な水郷の陰に隠れるように、ひっそりとたたずんでいるのが金澤古鎮だ。淀山湖の南岸に近いこの古鎮では、静かな水郷の風情を楽しむことができる。

穏やかな時が流れる街並み
 
 金澤古鎮は上海の市街地から西に延びる沪青平公路沿いにある。高速道路のインターチェンジも近くにあるため、交通の便はそれほど悪くない。
 この街は古くから農業と漁業が盛んで、江南の典型的な村として知られていた。この地に村ができたのは、宋代初期の960年ごろのことだった。言い伝えによると、1人の農民がここで金玉のような石を発見したため村は「金石」と呼ばれるようになり、多くの川が流れ水が豊富であることから「金澤」という名が付けられた。
 この街の見どころは南北に流れる水路とその脇の「上塘街」と「下塘街」に点在している。水は静かに流れ、時折、小舟が行き交う。水路にはさまざまな形の橋が架かっている。細い路地の両側には白い壁の家が立ち並び、落ち着いたたたずまいを見せている。
 金澤古鎮は周辺の有名な水郷のように観光地化されてはいない。観光客向けのサービスも、遊覧用の小舟が営業しているくらいだ。土産物を売る店は皆無といってよく、客引きの声もほとんどない。地元の人が普段通りの生活をしているのが、この街の特徴だ。水路のほとりで静かに水郷の風景を楽しむ。人混みの中にはない穏やかな時の流れが感じられることだろう。


金澤古鎮の水路。今も水運の主役として活用さている

 
水路の東の「上塘街」。通りは清潔で歩きやすい

金澤古鎮への行き方
まず上海の市街地からバスで朱家角へ行く。バスは数路線あるが、人民広場の南にある普安路延安東路のバス停から出ている「沪朱高速快線」が便利だ。朱家角のバスターミナルに近いバス停から「青金線」に乗り、終点の金澤で降りれば、金澤古鎮は目の前にある。

「橋のふるさと」を散策
 
 金澤古鎮は「上海の橋のふるさと」と呼ばれ、街の至る所に橋が架かっている。そのほとんどが石造りの橋で、築数百年という長い歴史を刻む橋も少なくない。多くの橋は水路の脇から全体を眺めることができ、たもとにベンチが設置されている橋もある。街を散策しながら橋をめぐる。それが金澤古鎮の醍醐味の1つだ。


天皇閣橋

金渓路から下塘街を少し北に入った場所に架かる橋。明代の創建で、清代に架け替えられた。長さは約22メートルで、堂々とした姿を見せている。3つの穴が開いたような形状で、中央の穴は約7メートルの高さとなっている。
 

普済橋
金渓路の南約300メートルの場所に架かる橋。南北に延びる水路をまたいでいる。宋代の1267年の創建で、上海で最も古い石橋とされる。紫色の石が積み上げられていたので、かつては「紫石橋」とも呼ばれていた。
 

普慶橋
普済橋の少し北に架かる橋。1999年にアメリカのテレビ番組制作会社の求めで造られた橋だ。木で造られ宋代の有名な絵画である「清明上河図」をイメージしている。この橋のたもとは、遊覧用の小舟の発着点になっている。
 

万安橋
天皇閣橋の少し北の水路に架かる橋。宋代に造られた橋で、長い歴史を持っている。明代、清代に何度か改修された。橋の西側のたもとから見上げると、緑に木に向かって登って行くような気分になる。


河蝦のしょうゆ煮
小さなエビが皿にびっしりと載った料理。しょうゆ味のエビは、ごはんのおかずにもビールのおともにもぴったりだ。つい頭から丸ごと食べたくなるが、殻を取って食べるのが中国流だ。時価と表記している店でも、庶民的な料理なので心配はいらない。