楓涇古鎮

呉越の境界の今を知る
 
中国の春秋戦国時代の列国である呉と越は激しい抗争を繰り返した。「呉越同舟」の故事成語が物語る通り、呉と越は仲の悪いものの代表とされた。上海市南西部の「楓涇古鎮」は、その2つの国の境界となった場所だ。現在も上海市と浙江省の境に位置している。この街は大規模な水郷となっており、長い歴史に彩られた街の今を知ることができる。
 
長い歴史を刻む大規模な水郷
 
 楓涇古鎮の歴史は長く、2000年以上前にこの地に人が住んでいたとされる。1500年ほど前に市が立ち、白牛市と呼ばれた。正式に街ができたのは元代初期の1275年のことだった。
 この古鎮には29の居住区、84本の路地があるといわれ、上海の水郷で最大級の規模を誇っている。見どころはエリアの中央部を南西から北東に延びる水路の周辺が中心となる。水路に沿って長さ268メートルの「古長廊」が整備されている。長廊の北部には小さなレストランが並ぶエリアがあり、水路沿いのテーブルで食事を楽しめるようになっている。水路の近くの通りは南から南大街、中大街、北大街と名付けられ、この街のメーンストリートとなっている。その中で最もにぎやかなのが中大街で、土産物店やレストランがずらっと並んでいる。北大街は比較的静かな街並みとなっている。
 この街は観光スポットがあちこちにあり、そこを訪れるには入場券が必要となる。古鎮の入り口に観光案内所があり、そこで50元のチケットを販売している。複数のスポットを訪れるならこのチケットがお得だ。楓涇は歴史が長く規模が大きいだけに、さまざまな楽しみ方ができる。ゆっくりと秋の1日を過ごせる古鎮だ。

 
楓涇古鎮を流れる水路。それほど広くなく、落ち着いたたたずまいを見せている
 

古長廊。商店が並ぶエリアが多いが、一部は民家に面している
 
楓涇古鎮の行き方
楓涇古鎮へは便利なバスが出ている。地下鉄1号線の錦江楽園駅に隣接する梅隴バスターミナルから出ている「楓梅線」だ。バスに乗って最初のバス停「楓涇牌楼」で降りれば古鎮の入り口は目の前だ。高速道路を走るので1時間弱で着く。運賃は12元。

個性的な路地を巡る
 
 楓涇古鎮には数多くの路地があり、それぞれに個性を感じる。最もにぎやかなのが中大街で、その南北の南大街、北大街も多くの観光客を迎えている。その通りから少し入った所にも、両側の白い壁を縫うように延びる路地がある。また、水路に架かる橋もさまざまな表情を見せてくれる。路地を歩けば発見がある。この古鎮はそんな街だ。
 

にぎやかな中大街
楓涇古鎮で最もにぎやかなのが中大街だ。通りの両側の商店やレストランからは客引きの声が絶えず「俗化しているな」とも思うが、それがこの通りの個性だ。さまざまな物が売られているので、冷やかし半部にのぞいてみるのも面白い。
 

落ち着きある北大街
中大街から北へ向かい水路に架かる橋を越えると北大街に入る。この通りにも商店が並んでいるが、中大街ほどの騒がしさはない。通りの幅も狭い。観光客相手ではない昔ながらの商売をしている家もある。
 

致和橋
楓涇古鎮には52の橋が架かっているといわれる。その中で最も古いのが街のの南西部にある「致和橋」だ。元代の致和年間に造られたのでその名がある。700年近い歴史を持つ。橋は小規模ながら植物が所々に生え貫録を感じさせる。
 

にぎやかな通りから少しはずれた所に味わい深い路地がある。くねくねと曲がって迷路のような路地もある
 

白い壁に挟まれた路地。こんな路地を歩くと、この先には何があるんだろうという好奇心がわく
 

 楓涇古鎮の周辺は、古くから「蘇杭満つれば天下足る」と称せられた大穀倉地帯の一角だ。豊富な農産物と淡水の魚を食材とした料理が持ち味だ。また、紹興酒を代表格とする黄酒の産地としても知られる。古鎮には数多くのレストランがあり、どこで食べようかと迷うほどだ。


楓涇黄酒
江南地方特産の酒といえば何といっても「黄酒」だ。この地方で醸造された黄酒は、古鎮のレストランならたいていの店で飲める。北大街にはかめに入った黄酒を量りしている店がある。1斤3元から58元まで値段に大きな差がある。比べて飲むと値段の高い酒の深い味わいがわかる。